泳動結果
大腸ガン由来細胞株 SW480 あるいはHEK293 をラクタスタチン処理し
whole cell lysate からβ-cateninを検出しています。
ユビキチン化に関わるリン酸化種を決定した実験です。
Zn2+–Phos-tag SDS-PAGE (Phos-tag濃度25µM)では,
9種類ものβ-cateninのリン酸化種が存在することがわかります。
C末が分解されて分子量が小さくなったものも検出されますので
全長のβ-cateninに由来するバンドだけを示しています
(#1-#9;リン酸化種, ▷;非リン酸化)。
それぞれのバンドがどのようなリン酸化部位を含んでいるかは次の通りです。
参考画像;β-catenin
β-cateninは,ユビキチン化され,プロテアソームによって分解され,
細胞内での存在量が制御されています。
大腸ガン細胞株SW480 は,ユビキチン化する機構が欠失しており,
正常な機構を持っているHEK293に比べて細胞内のβ-cateninのレベルが高いです。
プロテアソーム阻害剤であるラクタスタチンをHEK293細胞に与えると,
HEK293細胞のβ-cateninは,1Ub, 2Ub, 3Ub........と
ユビキチン化して分子量が大きくなったものを検出することができます。
2D解析(SDS-PAGE/Zn2+–Phos-tag SDS-PAGE)によると,
85kDaより大きい位置にユビキチン化β-cateninが検出されますが,
それれらは,#8と#5から派生しています。
ユビキチン化するには,S33, S37, T41, S45のプレリン酸化が必須であるので,
この結果はそれを裏付けるものです。
関連画像
β-catenin